量産基板の開発は、下記のような流れで進めていくことになりますが、
①試作設計→②試作実装→③量産設計(フィードバックを反映)→④量産実装
納期の短縮化や、設計の負担軽減を実現するためには、
試作設計の段階で、より量産性を考慮したパターン設計を
行うことが非常に重要です。
例えば、量産性を全く考慮せずに試作設計を行うと、
「設計の手戻りが多く工数が増加してしまった…」
「想定以上に製品化が遅延してしまった…」
なんて事態につながる可能性も大いにあります。
したがって、今回はこのような事態を回避するための
量産性を考慮した際に押さえておくべき、
パターン設計における主なポイントをご紹介いたします。
ポイント①:量産基板製造・量産実装メーカーが提示する各種条件を確認する
量産性を考慮したパターン設計を行うにあたり、
最も重要なことは、量産基板製造・量産実装メーカーの
スペック、求める条件の確認・理解です。
この確認を怠ってしまうと、量産基板製造・量産実装メーカーへの依頼時に
”設計仕様を実現できない”など大きな問題が発生する恐れがあります。
具体的には、量産基板製造・実装メーカーが提示する
層構成、配線幅・間隔、パッドサイズ、
パッド間のクリアランス、部品間隔、ランド径、穴径 等を
重点的に細かく確認を行うことが大事です。
中でも層構成は、量産基板製造メーカーと認識を合わせておかないと
設計時に考慮した層構成と異なる層構成で基板製造が進み、
特性インピーダンスの不整合にも直結する恐れがありますので、
注意が必要です。
設計側と量産基板製造メーカー側での
層構成の認識のずれによるインピーダンスの不整合については、
下記記事にて解説していますので、是非ご覧ください。
>>最適な設計をしたつもりでもインピーダンスがずれる理由って?
ポイント②:SMD部品は「0603」以上、BGAは「ピッチ0.8mm」以上を選定する
仮に、量産実装先に豊富な設備があり、
スペックとしては対応可能であったとしても、
サイズが小さい部品の量産実装は、どうしても実装品質の安定化が難しくなります。
また、部品実装における歩留まりの低下にもつながりかねません。
そのため、量産性を考慮するのであれば、
サイズが極端に小さい部品の選定は避けた方が無難です。
具体的には、
・SMD部品であれば、0603 以上
・BGAであれば、ピッチ0.8mm 以上
を選定することを推奨します。
どうしても上記未満の極小部品や狭ピッチ部品を
使用せざるを得ない場合には、事前に量産実装メーカーと協議し、
問題がないか確認することを推奨します。
ポイント③:予め、実装後の基板検査を考慮しておく
量産性を考慮したパターン設計においては
製造・実装のみならず、検査も考慮しておくことが重要です。
具体的には、あらかじめ、量産実装後にどのような検査を実施すべきか
検討を行い、検査先が保有する検査治具で問題ないかを確認の上、
仮に求める検査を実現できる治具がない場合には、
検査治具の製造を進める必要があります。
その上で、求める検査が容易に実施できるように、
配線・レイアウトはもちろん、テストポイントの位置などを
考慮したパターン設計を行うことが必要となります。
テストポイントに関するパターン設計のポイントについては、
下記記事にてご紹介していますので、是非ご覧ください。
パターン設計ならアート電子にお任せください!
いかがでしょうか。
今回は、量産性を考慮したパターン設計の勘所をご紹介しました。
ちなみに、アート電子では試作設計、試作実装はもちろん、
量産設計、量産実装までワンストップにて対応することが可能です。
このワンストップ体制により、試作設計の段階から
予め量産性を考慮した設計を行うことを可能としています。
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