まず、基板の小型化を実現するためには、主に、
・デッドスペースを削減
・部品点数の削減する
・小型のデバイスを採用する
上記の3つをクリアしなければなりません。
さらに、小型化を実現するには、同時に熱対策も考慮しなければ
いけません。
この電子部品の熱対策がしっかり出来ていないと、
誤作動が生じたり、製品の寿命に大きく関わります。
また、人が触れないほど熱くては、そもそも製品としてNGですよね。
では、このような条件下で、どのような「熱対策」が出来るのでしょうか。
下記、その対策のポイントをご紹介いたします。
基板で行う対策① 放熱を構造的に考慮する
多層基板を使用することで、基板の銅箔残量率を多くなり、
結果的に放熱効果を高くすることが出来ます。
しかし、小型化の際には、デッドスペースを削減する必要があるため、
ビルドアップ工法、IVH等の工夫が必要になります。
さらに、放熱効果を上げるには、サーマルビアがあります。
これは、基板パターン上に開けた小穴(φ1.0~φ0.3)に銅メッキをした物で、
複数個(N個)設けることで、熱抵抗を1/Nに下げることが出来ます。
基板で行う対策② 放熱性の高い基板を指定する
熱伝導率の高い基板(CEM-3、アルミ基板等)を使用すれば、
放熱効果を高めることが出来ますが、これらは多層化することが出来ません。
そのため、多層基板ができ、且つ放熱性の高い基板を指定する必要があります。
例えば、アート電子ではFR-4より放熱性の高い基板である「FR-5相当」を
過去にご提案したことがあります。
デバイスで行う対策① デバイス自体も極力発熱しないものを選ぶ
デバイスに関しても、小型のデバイスを使用する必要があります。
その中でも、極力発熱しないものを使用する必要があります。
例えば、当社ではリニアレギュレーターではなくDCDCコンバーターを
選定するケースがあります。一般的に、リニアレギュレーターの場合、
電源の変換効率は約50~60%ですが、DCDCコンバーターの電源変換効率は
約90%です。そして、DCDCコンバーターはリニアレギュレーターより
部品形状がコンパクトという特徴があります。従って、DCDCコンバーターは
リニアレギュレーターより発熱を抑えられ、且つ小型化に適しています。
ただし、リニアレギューレーターからスイッチングに変更すると、
部品点数が増える可能性があるので、用途に応じて使用する必要があります、
デバイスで行う対策② デバイスの配置も考慮する
熱対策に置いては、デバイスの配置も考慮する必要があります。
例えば、発熱部品(IC・FET・Lなど)を分散させて実装したり、
あるい部品配置は基板全体にまんべんなく配置するなど、
放熱を考慮した(機構的にも考慮して)配置を考慮する必要があります。
熱を外に逃がす対策①
これまで述べてきたような対策を行っても、どうしても熱がこもり
製品として機能しないケースが多くあると思います。
そんな中、実際アート電子で行っている対策としては下記があります。
a.ヒートシンクを使用する
ヒートシンクの選定に関しては、素子の熱抵抗値より、熱抵抗値が小さい
ヒートシンクから選定しております。
b.放熱ファンを使う
発熱が大きい場合は、ファン等での強制空冷の必要性が出てきます。
ただし、筐体にスペースがある場合のみ適応できるので、
小型化でないケースが多いです。
c.放熱シートをデバイスに貼り、筐体に逃がす
ゲル状で厚みのある放熱シートや熱伝導シートを部品や基板に貼り、
放熱したり、ゲル状の厚みのあるシートなどを基板とケースの隙間に
挟み放熱する方法を行っております。
例えば、車載用基板には富士高分子工業株式会社のサーコンシリーズなどが
よいかと思います。
その他、電子回路の放熱対策はこちらをご覧下さい。
https://www.noise-counterplan.com/category/2008174.html#3
いかがでしょうか。基板の小型化を進める上では、上記内容をトータルで
考えて、製作していく必要があります。そのため、試作を繰り返して
完成させることが1番の近道かと思います。
ちなみに、アート電子はパターン設計からノイズシミュレーション、
ハード設計・実装・筐体まで組むので、こうしたものをトータルで
カバーすることが可能です。
一度、当社の試作サービスをご利用してみてはいかがでしょうか。
試作サービスはこちら!
https://www.art-denshi.co.jp/?page_id=1322
ご不明点等ございましたら、お気軽にご相談下さい。