フレキシブル基板設計の際に押さえておきたい5つのポイント

 

フレキ基板

 

ガラエポ基板などのリジット基板の場合は、電子回路を設計するエンジニアの方々の

ほとんどが設計経験があり、さらに先輩や同僚にもアドバイスを受けられる、

という事もあり、開発・設計においてはさほど大きなハードルにはなりません。

 

しかし、フレキシブル基板については、経験値や知見が圧倒的に少ないケースが多く、

フレキ基板を使った開発を進める際には、戸惑うことも多いのではないでしょうか。

 

実際、フレキシブル基板はリジット基板と違って、基板仕様を伝えたとしても、

製造プロセスを考慮してメーカー側でかなりの編集・変更を行うので、

開発・設計者は基板の仕様書や図面・回路パターンを送付するだけでなく、

どこが重要なポイントかを明示し、フレキシブル基板の仕様を

事前にしっかりとすり合わせることが必須になってきます。

 

このコラムでは、フレキシブル基板に携わったことが無い方・少ない方向けに、

フレキシブル基板を使った電子回路を設計する際には、

まずどういった事を押さえておくべきか、何を明確にすべきかを

ポイントを絞ってお伝えしていていきます。

 

 

 

ポイントその① 表面実装部品は問題なく使えるが、パッド部は工夫

 フレキシブル基板が使われる用途により、部品は小型のもの選ばれますが、

 リジット基板に使われる表面実装部品は、基本的に使用できます。

 ただし、部品のはんだ付けを行うパッド部は標準ではなく、

 出来る限り大きく設計することが推奨されますので、注意が必要です。

 

 

 

ポイントその② パターン設計・形状はフレキ基板仕様用とする

 フレキシブル基板の回路パターンは、目的に合った形状で設計することが

 必要です。例えば、端子部への引き込み部はテーパー形成が望ましい、

 配線を曲げる場合は、直角にではなく、円弧を描くようにする、

 などがあります。

 

 

 

ポイントその③ 薄いフレキ基板が裂けないよう形状に配慮

 薄いフレキシブル基板は、耐久性も考慮した形状にしておく必要があります。

 例えば外形コーナー部の形状は、裂けを回避するために、角を作らない、

 補強を入れる、ストップホールを入れる など対策を行うことが必要です。

 

 特にフレキシブル基板は屈曲させて使うなど、機構的な要素が高いため、

 形状は入念に検討しておく必要があります。

 

 仮に、基板設計中に外形(形状)の変更が発生すると、

 基板外形(形状)データの再編集、部品配置、パターン配線の再検討など

 出戻り作業が多々発生してしまいます。

 

 

 

ポイントその④ 基板メーカーに使用条件などを明確に伝える

 先述のとおり、フレキシブル基板は製造プロセスを考慮してメーカー側で

 編集・変更を行うポイントが多くなります。メーカーもプロですので

 最大限ユーザーの意向を汲み取ろうとしますが、それでも限界はあります。

 

 従って、求める電流値やノイズ面へのケアなど、リジット基板でも

 通常伝えるべき情報に加えて、
 屈曲部なのか折り曲げ利用かなど、どういった使用を想定しているか?

 どんな使われ方をするか?を細かく明確に伝えることが必須です。

 例えば、標準的な屈曲仕様と長期間の繰り返し屈曲を想定する仕様は

 異なってくるからです。

 これによりフレキシブル基板の仕様や、曲げ部などパターン補強などを

 メーカー側から提案してもらうことが可能です。

  

 

 

ポイントその⑤ 設計開発の費用と期間を抑えるためにDRをしっかりと行う

 フレキシブル基板は、リジット基板よりも高価になりますので、

 試作・開発の回数もできるだけ効率的に行う事が求められます。

 

 リジット基板の開発・設計の際も同様ですが、

 DRをしっかり行っておくことがとても重要になってきます。

 

 さきほどポイントその③で申し上げた通り、

 基板設計後に基板外径変更が入ると、出戻り作業が多く発生します。

 

 さらに、フレキシブル基板のリワークは、一般的に難易度が上がります。

 従って、手戻りのない開発・設計を進めておくことがとても必要です。

 

 

実際の設計にあたっては、もちろん上記以外にも基板の仕様などを詰めていく

必要がありますが、今回は電子基板を設計する上で、リジット基板とどう違うか?

という観点でお伝えしました。

 

今後も、フレキシブル基板についての情報をお伝えして参りたいと思いますが、

本件に関するご質問・疑問などがございましたら随時お答えしていきたいと

考えていますので、ぜひご連絡ください。


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