パターン設計の基礎:インピーダンスを考慮した差動ペア配線のポイント

 ノイズ対策チャンネル (10)

 

 

今回のコラムでは、インピーダンスを考慮した差動ペア配線のポイントについてご紹介します。

以下の動画でもご確認頂けますので是非ご覧ください。

 

 

今回、インピーダンスを考慮した差動ペア配線のポイントを説明させて頂きますが、

「インピーダンスやインピーダンスマッチングについて理解を深めたい」という方は

以下をご確認下さい。

 

>> インピーダンスマッチングについて、詳しくはこちら

 

>>特性インピーダンスについて、詳しくはこちら

 

 

1.インピーダンスを考慮した差動ペア配線を行うための2つのポイント

 

 

シングルエンドと異なり、差動ペア配線を行なう場合は

以下の2点に注意する必要があります。

 

 

① 2本の配線幅と間隔が変わらないように等長配線する

2本の配線幅、間隔は常にそろっている必要があります。

プリント基板上では2本の配線幅と間隔が変わらないように

等長配線しインピーダンスをコントロールします。

 

等長配線が出来ず間隔が変わってしまうと、

信号波形の乱れや信号伝達ロスの波形劣化が起きてしまいます。

 

 

② 基準層の銅箔の上に配線する

表層で配線した場合、基準層は下の層になりますが、

特性インピーダンスは基準層の銅箔(プレーン)との距離も関係しますので、

基準層の銅箔の上に配線があるようにします。

 

銅箔の切れ目やプレーンの全く無い部分があると、

インピーダンスコントロール出来ずに、

特性インピーダンスの値が変わってしまいます。

 

 

2.差動信号における、特性インピーダンス配線の具体的な方法

 

前述した2つのポイントを考慮した、具体的な差動ペア配線の方法を考えてみます。

冒頭にご紹介した動画に併せて、

USB2.0で、基板の仕様は標準的な4層、1.6mm厚の基板とします。

 

USB2.0の配線では差動90Ωでインピーダンスマッチングを行います。

基板の仕様から、特性インピーダンスが差動90Ωになる配線幅、間隔を決めます。

基板製作メーカーでも確認が出来ますし、計算ソフトを使用して確認することも可能です。

 

差動90Ωになる配線幅は0.2mm、2本の配線間隔は0.125mmとなりますが

その条件で差動90Ωになったかを確認します。

 

差動90Ωになったことを確認し、これらの値を使って、プリント基板で差動ペア配線を行います。

配線幅が0.2mm、配線間隔は0.125mmで表層で配線します。

この際の注意点は、配線間隔が変わらないように設計する事です。

 

 プレーン1

次に基準層ですが、

差動配線した部分は基準層のプレーンの上に載るようにします。

プレーンに載せていないと特性インピーダンスの値が変わってしまい、差動90Ωにはなりません。

 

 プレーン2

差動信号では、

2本の信号が逆の信号電圧を持つため、受信側で2本の信号の差電圧を取れば、

2倍の電圧振幅が取り出せる事になります。

また、2本の信号に同じノイズが乗った場合でも、

受信側で差分をとるためにノイズが除去されます。

 

つまり、コモンモードノイズが相殺されるので、

ノイズにとても強い信号方式ということになります。

 

 

是非、ここでご紹介した差動配線の基礎を振り返っていただき、

ノイズに強いパターン設計を行なっていただけますと幸いです。

 

アート電子では、基板設計のポイントを

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