今回のコラムでは、BGAに取り付けるパスコンの、最適な配置について紹介します。
以下の動画でもご確認頂けますので是非ご覧ください。
BGAを使用した基板設計において、ノイズ対策を行なう場合、
電源・GND間のパスコンの配置を、最適化することが重要です。
BGAは配線数が多いため、配線だけを優先してしまうと、
パスコンの距離が長くなり、ノイズ対策の効果が薄れてしまいます。
では、BGAにおいて、パスコンはどのように配置すればいいのでしょうか。
BGAの外周にある電源ピンの場合は、一般的なICと同様に、
部品面にてピンに近づける形で配置・配線します。
※黄色が電源ピン 水色がGNDピン
問題は、BGAの内側にある電源ピンの場合です。
この場合、パスコンは裏面に配置します。
ここで、疑問が出てくるのは、
「QFPなどのICの場合、一般的に裏面配置を避けるべきなのに、
なぜBGAは裏面に配置するのか」
という点です。
【QFPの場合】
QFPにおいては、パスコンは電源ピンのすぐそば、部品面に設置するのが最適です。
これは、「パスコンが裏面にある=電源ピンからビアを通りパスコンに繋がる」ということであり、
ビアのインピーダンスが入り込むことでノイズ除去効果が下がってしまうためです。
【BGAの場合】
BGAにおいては、パスコンを表面におくと、内側のボール端子からデバイスの外側まで配線を引き出す必要があり、配線が長くなります。
引き出し線が長くなると、ノイズ除去効果が大きく低下するため、
ビアのインピーダンスが入り込んでしまうことを考慮しても、
すぐ裏面に配置する方がいいという考え方です。
ただし、BGAの裏面にパスコンをおく場合は、パスコンの数を多くしないよう注意が必要です。
電源ピン数が多く、引き出しビアもスペースを取ってしまうBGAでは、
パスコンを置くスペースは限られています。
むやみに多数のパスコンを置くと、パスコンの配線が長くなりノイズ除去効果が薄れ、
ノイズ対策の意味をなさなくなります。
BGAのパスコン配置についてご説明させて頂きましたが、
パスコン配置の最適化の前に、もちろん、
パターンの引き出し方を最適化する必要があります。
パターンの引き出し方については以下の動画にてご説明しておりますので、
こちらをご確認下さい。
BGAを搭載している基板において、
パスコンの配置が原因でノイズが発生していることが多くありますので、
是非、基礎を振り返り、パターン設計を行なって頂けますと幸いです。
なお、アート電子では、ノイズに強い基板設計を得意としております。
基板設計についてお悩みがございましたら、お気軽に当社に御相談下さい。