アルミコア基板は産業機器・一般電子機器を中心に
幅広い業界で使用されています。
アルミコア基板は放熱性に優れている反面、
銅コア基板と比較すると信頼性が低くなる側面があります。
そのため、アルミコア基板のメリットだけでなく、
デメリットを理解しておくことが、
適切な基板の選定において重要になります。
この点を正しく理解することにより、
アルミコア基板を採用して
「半田クラックが発生してしまった…」
「反りが発生し最終品質に影響が出た…」
などのトラブルを防ぐことにもつながります。
そこで、今回はこのような事態を回避するため、
アルミコア基板のメリット・デメリット
をご紹介したいと思います。
少しでも興味を持っていただけましたら、是非最後までご確認ください。
そもそも、アルミコア基板とは?
ご存知の通り、アルミコア基板とは、
アルミニウムの両面に絶縁層と銅箔を設けた基板で
両面で回路形成が可能なアルミ基板のことです。
下図の通り、銅箔、絶縁層、そして
放熱を目的としたアルミニウムをコアとしている基板です。
もちろん、アルミニウムは銅箔やスルーホールとは絶縁されています。
基板の中央層にアルミニウムがあることで、両面に回路形成が可能です。
また、部品から発する熱を均熱化することができます。
高密度実装を行った基板や、発熱量の多い部品を搭載した基板は、
搭載部品の熱が集中しやすく高温化になりやすいため、
従来の基板では部品の耐熱温度を超えてしまうことがあります。
そこで熱放散を目的として、アルミニウムコア基板が使用されます。
図1. アルミコア基板
アルミコア基板のメリット・デメリット
アルミニウムは熱伝導性に優れるため、効率的に放熱できます。
また、安価なものもあり、コスト面から使用されることも多いです。
したがって、アルミコア基板は
放熱性とコストのバランスが良いことがメリットとして挙げられます。
一方、アルミコア基板は反りが発生しやすい点がデメリットです。
アルミコア基板は、コアにアルミニウムを使用している為、
外層の銅とコアのアルミニウムの熱膨張率に差異があります。
そのため、熱膨張率の違いから、反りが発生しやすくなります。
また、半田クラックなどの懸念もあり、注意が必要です。
銅コア基板は、アルミコア基板のデメリットを解消できる
そこで検討すべきなのが、銅コア基板です。
なぜなら、銅コア基板の方が信頼性が高いからです。
下記にて、なぜ信頼性が高いといえるのか具体的な理由をご紹介します。
理由①:熱膨張率が外層の銅箔と同じなので、反りなど変形が発生しづらい
下記図のように、銅コア基板は
銅をコアとして、絶縁層と銅箔を積層し、
スルーホールを設けた構造となっております。
銅コア基板は、外層と同じ銅をコアとしているため、
熱膨張率が等しく、温度変化による反りが発生しづらいです。
そのため、銅コア基板の方が信頼性の高い基板が製作可能です。
図2. 銅コア基板
理由②:銅コア基板の方が耐久性の高い基板が製作できる
一般的に銅は導電性の他、機械的強度と耐久性にも優れています。
例えばアルミと引張強度・ヤング率を比較すると、
以下のようになります。
・引張強度は銅:約220MPa、アルミニウム:約90MPa
・ヤング率は銅:約117GPa、アルミニウム:約70GPa
銅コア基板の場合、耐久性が高く、
長寿命で信頼性の高い基板の製作が可能です。
もちろん基板強度は厚さや構造にも関係するため、
構造やそれに伴うコスト面も考慮した最適な設計を行うことが重要です。
理由③:アルミコア基板より、放熱性に優れている
銅とアルミニウムの放熱性を比較すると、
熱伝導率はそれぞれ銅が398W/mk、
アルミニウムが236W/mkと銅の方が高いです。
したがって、銅コア基板の方が放熱性に優れており、
より基板への熱集中を防止できます。
上記3つの理由から
銅コア基板は変形しづらく、耐久性・放熱性に優れた
信頼性の高い基板であると言えます。
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今回は、アルミコア基板のメリット・デメリットをご紹介しました。
上述の通り、アルミコア基板も用途によってメリットがありますが、
銅コア基板の方がより信頼性の高い基板製作が可能です。
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