これまで、アート電子では、
パターン設計の観点から、基板”品質向上”を実現するポイントを
多々、発信してまいりました。
過去の記事でも、基板の設計品質を確実に担保するためには、
なんといっても ”適切なDRを行う” ということが重要であると
お伝えしてきました。
今回の記事では、基板”品質向上”において、
この適切なDRを行う以前に、押さえておくべき
熱や電流に対する基礎的な3つのポイント・パターン設計の考え方をご紹介します。
仮にこのポイントを考慮できていないと、
「なんとか設計できたが、品質に満足がいかない…」
「感覚頼りの設計となっており、品質に不安がある…」
なんて事態に陥る可能性もあります。
このような事態を回避するために、
少しでも興味を持っていただけましたら、
是非最後までご確認ください!
ポイント①:スルーホールに流せる電流値の考え方
まず、ご紹介するのは、意外と知らない
スルーホールに流せる電流値の考え方です。
プリント基板の設計の一般的な知識として
銅箔厚35[um]のパターン幅1[mm]のパターンに流せる
電流量は1[A]というものがあります。
パターンであれば、対象のパターンに流れる電流値を把握して、
必要なパターン幅を確保することで、電流量に対するケアをすることができます。
例:パターンに流れる電流値4[A] → 必要なパターン幅4[mm]
しかし、配線層を切り返す為のスルーホール1個に
流せる電流量に関してはどうでしょうか?
スルーホールの穴径は電源ブロックや小信号ブロックなどで
取り扱うスルーホールの穴径が異なるため、
一概に判断することが難しいのです。
そこで、パターンとスルーホールに流すことができる電流量を
理論的に比較していきたいと思います・・・
>>【動画】スルーホールに流せる電流値の考え方! 品質を向上させるプリント基板設計のポイント!
ポイント②:大電流回路におけるパターン幅設定の考え方
2つ目のポイントは、大電流回路における
パターン幅設定の考え方です。
例えば、銅箔厚が35[um]の基板において、
基板の温度上昇を10[℃]以内に抑えるための条件として、
パターン幅1.0[mm]の配線に流せる電流値の目安は1.0[A]となっています。
もちろん、パターン幅1.0[mm]の配線には1.0[A]以上の電流を流すことも可能ですが、
基板の温度上昇やパターンの断線などの原因となる場合があります。
では、パターン幅が十分に確保できず、
銅箔厚を厚くするなどの対策を行った場合はどうでしょうか。
この場合、パターン幅(横方向)だけではなく、厚み方向(縦方向)も鑑みることで、
電流値に対するパターン幅、銅箔厚を決定することができます。
ただし、銅箔厚を厚くした場合には、
パターンに流せる電流値やその他の制約事項に
注意を払う必要があります。
具体的には・・・
>>【動画】大電流回路のパターン幅の考え方!品質を向上させるプリント基板設計のポイント!
ポイント③:多層基板における電源パターン配線の注意点
3つ目にご紹介するのは、多層基板における
電源パターン配線の注意点です。
例えば、基板の層数が4層以上の多層基板の場合、
一般的な基板の層構成は
L1層、L4層がSIGNAL層(信号配線層)、L2層またはL3層がGND層、VCC層
という層構成となります。
多層基板になると、基板上には層間接続用の信号ビアや電源、
GNDビアなどが多数配置されることから、
電源パターン配線上では注意すべきことがあります。
具体的に、FETを使用したパワー系の回路構成の事例を基に注意点をご紹介します・・・
>>【動画】電源パターンの引き回しの注意点!品質を向上させるプリント基板設計のポイント!
パターン設計ならアート電子にお任せください!
いかがでしたでしょうか。
今回は、熱や電流に関係した、基板”品質向上”を実現するパターン設計のポイントを
3つご紹介しました。
もちろん、これら以外にも、
基板”品質向上”を実現するパターン設計のポイントは多々ございますので、
是非、その他の記事もご確認いただけますと幸いです。
ちなみに、アート電子では”基板品質”は当然のことながら、
ノイズ対策、発熱対策まで考慮した
パターン設計を非常に得意としています。
さらには、パターン設計のみならず、
回路設計〜部品実装まで一貫して対応することが可能ですので、
お困りの案件がございましたら、まずは一度当社にご相談ください。
また、当社ではその他の多数の技術情報をWEBサイトにアップしていますので、
ご興味をお持ちの方はぜひご一読頂ければと思います。
■ 厚銅基板の品質トラブルを回避するため、押さえておきたい設計ポイント