近年、電子機器の小型化・軽量化・高性能化が飛躍的なスピードで進んでいるため、
プリント基板の高速化、低ノイズ化、発熱対策等の高度な要求が高まっています。
こういった要求に対応するためには、高度な基板設計技術に加えて、
基板設計前に発生しうる問題を事前に把握できるシミュレーションの活用が
必要不可欠となっています。
当記事では、そんなシミュレーションの中でも、
ノイズ対策に有効なシミュレーションの1つである
「プレーン共振解析」についての情報をお届けします。
(※下記の動画でも詳しく解説しておりますので、
ご興味をお持ちの方は、是非ご覧ください。)
簡単にできるノイズ対策!(シミュレーション編) プレーン共振解析
プレーン共振解析により、EMI抑制の最適な対策を判別!
プレーン共振解析とは、EMI放射ノイズを増大する要因である
プリント基板のGNDプレーンと電源プレーン間の共振を解析するシミュレーションです。
一般的に、対向する電源とGNDのプレーンがあると、ある周波数帯域で共振が発生します。
その結果、共振点周波数でのEMI放射ノイズの増大へとつながる場合があります。
こういった場合に、プレーンの共振を解析することで、
最適な対策の検討を行うことが可能です。
例えば、解析結果に応じて、
プレーン形状の変更、デカップリングコンデンサ・RCスナバ回路の追加等により、
共振レベルを抑え、共振周波数を高い周波数帯へずらし、EMI放射ノイズを抑制するのです。
では、ここからは実際にプレーン共振解析を行った事例を基に
説明を進めていきます。
プレーン共振解析:デカップリングコンデンサの追加による共振点の変動
当事例ではデカップリングコンデンサを追加することにより、
電源-GNDのプレーン共振解析シミュレーションで共振点がどのように変動するかを確認します。
電源とGNDの対向したプレーンがあるとEMI放射ノイズが高周波で共振します。
テストデータは4層基板で、上から部品面、GND層、電源層、はんだ面にしています。
① プレーン上にコンデンサを配置していない場合
下図の赤いラインについて、3層目の電源プレーン、2層目はGNDプレーンです。
プレーンの入り口と出口には0.1uのコンデンサを付けています。
この状態でのシミュレーション結果は下図の通りです。
周波数特性表から共振点が出ています。
結果は周波数特性表から630Mhzあたりでしょうか。
②プレーン上の中央に0.1μmのコンデンサを追加した場合
では、次にこのプレーン上の中央あたりに0.1μmのコンデンサを1つ追加します。
この状態でのシミュレーション結果は下図の通りです。
プレーン上にコンデンサが無い時に比べて、
共振点が高い周波数帯へ少し移動していることが分かります。
800Mhzあたりになりました。
③プレーン上の左側と右側に0.1μmのコンデンサを追加した場合
次はプレーン上の左側と右側に1つずつ、0.1μmのコンデンサを追加してみます。
この状態でのシミュレーション結果は下図の通りです。
コンデンサ1つの時と比べて共振点がさらに高い周波数帯へ少し移動しました。
930Mhzあたりでしょうか。
④プレーン上に0.1μmのコンデンサを3つ追加した場合
最後に、下図青丸の位置に0.1μmmのコンデンサを3つ追加します。
この状態でのシミュレーション結果は下図の通りです。
共振周波数がさらに高い周波数帯へ移動し、
周波数特性表の周波数帯から
無くなっていることがお分かりいただけるかと思います。
いかがでしょうか。
これらの例のようにプレーン共振解析を行うことで
危険な周波数と共振電圧の大きさを確認できます。
そして、解析結果を基に、コンデンサを追加する等の
最適な対策を施すことで共振周波数を高い周波数帯へずらし
共振点が特定の周波数で起こらないようにすることで、
EMIを抑制することが可能となります。
アート電子では、もちろん、このプレーン共振解析をはじめとした
幅広いシミュレーションに対応しております。
お客様のご希望に合わせて最適なシミュレーションを実施し、
高品質な基板設計をサポートいたします。
基板設計・開発に関するお困りごとがございましたら、
是非お気軽にお問い合わせください。
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ご興味をお持ちの方はぜひご一読頂ければと思います。
■ プレーン共振解析
■ 用語説明:プレーン共振解析